気になるあの子
今日は僕のバンドのライブがある。
今日はいつもとは少し違う、と思う。
気になるあの子が見にきてくれるらしい、取り置き一枚お願いしてもいい?って言われた。
そわそわがとまらない、まだあの子は来ていない、僕の出番まであと10分を切っている、あの子は来るのか、来ないのか、いや、絶対来てほしい。
あ、きた、少し息が上がってる、急いできてくれたのかな。
ああ、もうすぐ出番だ、よし、うん、大丈夫。
ステージの上から見下ろす、いや、見下ろしてることは見下ろしてるんだけど、なんか、気分としては見上げてる、あの子のことを。
ライトが当たって眩しそうだ、ずっとこっちを見ている、僕のことを見てるんだね。
ライブハウスは初めてかな?
スピーカーの近くだ、耳は大丈夫かな?
うん、楽しそうだ、よかった。
僕のことを見てるのはわかるけど、なかなか目を合わせれないよ、いや、合わせないんだ、バンドマンってそんな簡単じゃないんだからね。
一回だけあの子のことを見てみようかな、うーん、どうしよう、見てみよう。
あ、目があった
やっぱり僕のことを見てたんだね
ライブが終わって、あの子が駆け寄ってきた、おつかれさまって。
ありがとう、またきてね、気をつけて帰って、よし模範解答だろこれ、その気にもさせない。ちょうどいい。
あの子はちゃんと帰れただろうか、ラインでもしてみようかな、いや、だめだ、バンドマンは簡単じゃないんだって。
ちゃんと帰れたことにしておこう。
僕もそろそろ帰ろうかな、
あの子のせいで、集中できなかったな、いや、あの子のせいじゃないよ、僕がただ集中してなかっただけだ、僕のせいだ、あの子なんてなんでもないよ。
よし、寝よう
うーん、やっぱりあの子のせいか、、だめだ、自分を取り戻せよ僕、バンドマンなんだよ、僕は、だめだ、明日からもまたしっかりしよ、てかもう明日か。
ってやりたかった人生よ!!!!!!!